ダウ平均の暴落を願うドル売り日記(*‘ω‘ *)

基本は億にも達していないトレーダーの日常。トレードも読書も英語の勉強も、趣味もお洒落もダイエットも、全て無理なく楽しく続けることをモットーにしています。小さな努力も続ければかなり大きな成果に。基本成果を早く出そうとするから皆苦しいのだと思っています。

アダム・スミスの『国富論』を読んで(*‘ω‘ *)

今日(2021年1月24日)、『国富論』を読み終わった(*‘ω‘ *)

一箇所だけ、三冊ある巻の中で一箇所だけ、『見えざる手』との言葉があると楽しみにしていたのだが、きっと本の内容にとって重要ではないのだろう。どこにあったか分からなかった。

1巻目と2巻目は、2019年ぐらいに読んだのだが、その後にもっと気になる本をkindleにダウンロードしていたら、3巻目は読むのが遅れて今になった。

以前の二巻はそこまで覚えているわけではないので、三巻目を主に感想を書きたい。

 

国富論 (3) (中公文庫)

国富論 (3) (中公文庫)

 

 1巻目~2巻目には、物の価値は労働の価値によって決まるという労働価値説と、自由貿易によって富を増やすことができるので、関税は悪であるとの理論と、『富というものは僅かでも持っていれば集まってくる。問題は、その少しを手に入れるのが難しいのだ。』との言葉の三点が記憶に残っている。そして、資本主義の発展の理由を、分業に帰していた。

 

3巻目では、まず、そもそもが、1700年代のイギリスで出た古典なので、常備軍民兵に対する優位性、裁判制度について、東インド会社などの失敗について、等々あり、協会の民営化についても書かれていて、税源をどこからとるか、公債について、そして、植民地を完全に併合してしまおうとの帝国理論、これらが目立った。

 

これを簡約すると、確かに、新古典派が唱える夜警国家や、見えざる手と言う言葉に行きつくかもしれない。

しかし、現代色々と経済について分かってきたことと合わせると、凄く稚拙な面が沢山ある。

それでも、この時代には、寡占的な大企業もなかったし、もしかしたら成り立った理論なのかも知れない。

 

常備軍には金をかけた方がいいし、この税源については基本アダム・スミスは文句を言わない。この時代は、別の本で読んだことがあったのだが、フランスとイギリスの船が出会ったら、開戦中か否かを確認せずに大砲を撃ったらしい。その点で、現代と比べて他国の脅威というものが常にあったのかも知れない。

しかし、戦争って誰の利益になるのだろうかと真に問いたくなる。

最後の公債の章にもあった。

基本、平時から、借金漬けになる傾向が財政にはあったが、戦時中はまず賄えないので、公債を発行すると。そして、それが償還された試しは古代ローマ時代からなかったと。

さっき、Twitterを見てきたら、転売ヤーは日本国債を買い占めればいいのにと言っていた。それで日本の財務状況が良くなると。

このツイート主は、自分の税金から転売ヤーに利子を払うつもりだろうかと思ったし、正直国債価格は株価暴落時に急上昇するし、長期的にも上昇トレンドなので、国債先物なら買ってもいい。

アダム・スミスの頃から、公債は人気があった様だ。そして、次の起債で、前に発行した国債の利子のみを払う形にして、基本は元本の償還はなかったらしい。償還するなら、大幅な通貨の切り下げをしたらしい。

 

アダム・スミスは、税の簡素化と行政の無駄の削減、関税の撤廃による自由貿易と、軍備拡張による植民地併合を推進している。

 

この本にあったのだが、フリードリヒ大王が治めた時代のプロイセンは、財政黒字だったらしい。しかし、プロイセンからそれ相応の富豪が出たという話はあまり聞かない。

基本、ブルジョワジーと言ったら革命の起きたフランスの話であり、ジェントリーというのもイギリスだ。

アダム・スミスが槍玉に挙げたのが、フランスだった。フランスは、税の徴収にあたり徴税請負制度を設けていて、その為、必要以上の経費がかかるのに、税率も重いと。税制改革により、国家が直接納めさせることにすることによって、税負担を減らしつつ、税収も確保できると唱える。

この部分は個人的にはスミスの他の言説との齟齬が感じられた。

徴税権を売り渡して、専門家(民間)に徴税業務を任せるフランス。これって、行政の民営化ではないかと。しかし、税負担の公平性も効率性もイングランドに比べてはるかに劣っていたと書いていた。

もしかしたら、人類史上初の民営化の失敗例だったのかも知れない。

 

それに、物価が下がれば、賃金が下がるが、それに伴い、実質賃金は下がらないので労働力に対する需要が上がり、景気が良くなると書いてあった。

これ、日本のデフレのことではないだろうか。

デフレが悪か否かは別問題として、Twitterを見ていると、日本が豊かになったと感じている人は少ない様だ。

 

色々と現代の経済情勢と重ねてみると、矛盾点の多い3巻目である。

 

そして、パクスアメリカーナの様に、イングランドが世界の警察をすべきと言っているが、その負担を植民地に求める意見を述べている。

しかし、アメリカは独立した。これについては、どう思っているのだろうか。

 

21世紀の世界において、警察組織は必要だろうし、裁判制度も必要だろうが、一番いらないのは、各国が一番に同時に削減すべきなのは、軍事費ではないかと思う。

あの頃の様に戦争の起きる頻度は減ってきている。

しかし、アダム・スミスも言っていた様に、簡単な槍や剣を持つ戦争から、銃や大砲を持ち、専門化してきている戦争。現代は、その技術的な専門化がより進んでいて、その為、過去の時代よりもずっとお金がかかる。

 

それでも、中国のイージス艦アメリカの原子力空母が本気で撃ち合う未来というのは想定しにくい。

 

アダム・スミスの理論の最大の特徴は、大企業による寡占のなかった時代、少しずつ、必ず全ての国民の生活が上向いていた時代、そういう時代に書かれた文献だということだ。

 

軍事拡大や教会の民営化の可否(学校の民営化)、植民地に対する徴税権の拡大、MMT理論のない時代における、国債の償還を目指す均衡財政の薦め。

全て、私には古い時代だからこその考えと言う気がするのだが、今の時代に、アダム・スミスの言説を真に受ける経済学者や政治家が一定数いて、それが、自分の幸せにつながらないと、直ぐに気づくことのできない平民が一定数いることが、現代の問題だ。

 

過去に、ナチスドイツについての文献で読んだことがある。

当時、『我が闘争』はドイツ人に買われたけど、ほとんど読まれることもなく、第二次大戦の少し前に、イギリスのエコノミストが本気で読んで、ユダヤ人は直ぐにドイツから逃げた方がいいと警告したそうだ。

国富論』と現代経済理論情勢や政治情勢には、この時代と同じ匂いを感じた。

国富論』はそれなりに良い文献だし、間違ってない点もあるが、その全てが成り立つのは、あくまでも18世紀のイギリスにおいてである。

現代の社会では成り立たない。一番の違いは、大企業の寡占があるから。自由貿易で利益を得るのは大企業であり、スミスの言う通り、最低賃金が引き下げられたら、ほとんどの労働者は生活の質を失う。

職すらない人を救えと言うのが、一部の政治家の言説ではあるが、それには、社会保障で対処して、現在の労働者に対しては、より働きやすい環境と、安定した高い賃金を約束した方が、社会としてはずっと豊かになれる。

 

現代の世界に生きるなら、スミスには、賛同できない。